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“たてもん祭り”

富山労災病院 藤田 みずほ

 富山県魚津市には,毎年8月7日,8日に行われる魚津漁港南にある諏訪神社の“たてもん祭り”があります。諏訪神社の氏子7町内がそれぞれに繰り出し,大漁と海上の無事安全を祈ります。高さ15mもある真柱(心棒)に90余りの提灯を帆型に吊した「たてもん」を,若者たちが威勢よく引き回します。その豪快さ,勇壮さは訪れる多くの観光客を感嘆させ,国の重要無形民族文化財に指定されています。

 “たてもん祭り”の起源ははっきりしていませんが,江戸時代の享保年間(1720年頃)には,現在のような形態に固定されたと伝えられています。以来現在まで,海の男達の勇壮な祭りとして諏訪神社に奉納されてきました。

 “たてもん祭り”の語源は,古来,狩猟の神として称えられてきた諏訪神社の祭礼に,豊漁を祈って多くのお供えを神前に奉った「たてまつるもの祭り」が短縮されて,“たてもん祭り”と称するようになったと伝えられています。現在7基の「たてもん」があり,くじ引きで毎年奉納する順番を決め,境内に入ると「たてもん」は勢いよく回転をはじめます。

 「たてもん」はお供えの一部であるため,神様にお供え物がよく見えるように廻ると解釈されています。また2000年から,この「たてもん」が初めて海を渡り,ハワイのホノルル祭りへ参加しています。「たてもん」は総重量約5tにもなるため,魚津を出発し神戸港から船でハワイに向かいます。地元では,この海外公演にも大きな期待をよせています。

 この祭りに併せて,“じゃんとこい魚津まつり”と称して,市街では郷土芸能「せりこみ蝶六」の街流しが,また海上では花火大会が開催されるなど,夜の街を鮮やかに彩ります。そして,何百,何千という美しい提灯の明かりが暗い夜に映える光景は,夏の夜の風物詩になっています。

(会報JAMT 2004年01月号掲載)



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