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すだち

徳島県JA厚生連阿南共栄病院 南與 志子

 “阿波踊り”は徳島の夏の風物詩としてよく知られていますが,その頃に出回る“すだち”のことはあまりよく知られていません。

 “すだち”というのは,ピンポン玉くらいの濃い緑色をした香酸柑橘類の一種で,“ゆず”の近縁種の徳島原産の香りの高い柑橘です。5月頃から白いかわいらしい花をつけ,8月くらいが旬となっています。しかし,現在では4月から8月中旬くらいまではハウスものが,8月中旬から10月中旬までは露地栽培のもの,10月中旬から3月一杯までは冷蔵貯蔵品が市場に出回るといったふうに,結局,1年中みることができるようになりました。

 阿波っ子はこの“すだち”を横2つ切りにして搾り,刺身や焼き魚,豆腐料理やかまあげちりめん等々,何にでも搾りかけて食べ,冬場には鍋物の漬け汁等にも使います。また,日本酒,洋酒,焼酎,紅茶等の飲み物にレモン同様に薄く輪切りにして浮かべ,果ては搾り汁を蜂蜜と混ぜ,炭酸水や冷水,お湯割りに利用したりしてその風味を味わい尽くしています。

 昭和49年には,この“すだち”の花が県花として指定されるなど,今では県民の食生活に欠かせない逸品となっていますが,地元の県民性のゆえか,宣伝不足もあってか,全国的にはまだまだ余りよく知られていないのがいささか残念なことです。

(会報JAMT 2004年11月号掲載)



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