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土佐の中村『いちじょこさん』

中村市立市民病院 宮下 ゆり

 わたしの住んでいる中村市は,今から約500年前,応仁の乱を避け,下向した前関白一条教房が中村のこの地に御所を構え,文化,経済の発展に力を注ぎ,公家大名の街として栄えました。慶長12年(1607年),一条御廟所跡,土佐一條氏の遺徳を偲び,「神社」の建立を行い,「いちじょこさん」と親しまれ,毎年11月23日から25日には,全市を上げて盛大な「一条大祭」が行われ,土佐三大祭のひとつに取り上げられています。

 この日には,神社の周りに露天の出店が並び,何処からこんなに多くの人が集まって来たのかと思われるくらいの華やかさで,私も子供の頃は,晴れ着を着せてもらい「いちじょこさん」に行くのが楽しみでした。「ガマの油売り」「蛇おんな」「ろくろ首」などの見世物小屋の絵看板に誘われ,怖いもの見たさで,友達と入ったものです。

 また,大人達は,朝から晩まで,何軒もの知人の家を回り,そこで知りあった人を,他の家へ連れて行き,初対面の家にもかかわらずお客で上がり,飲酒等が自由に行われ,今では考えられない人間関係が自然にできあがり,幡多の人の良さはこんなところからきているのかも知れません。

 いまでは,このようなもてなしはみられないものの,植木市は恒例となり,晩秋の市民の楽しみのひとつになっています。今も公家の歴史,文化を引き継いだイベントが四季を通じて行われ,清流四万十川と共に,われわれの心のプチ自慢かもしれません。

 ♪♪ 都を偲ぶ町づくり,祇園,京町,東山,なかむら良い町城下町 ♪♪

(会報JAMT 2004年12月号掲載)



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