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世界文化遺産「原爆ドーム」

厚生連広島総合病院 水野 誠士

 広島には前回紹介した「宮島」以外にもう一つ,戦争関連施設としては「アウシュビッツ強制連行収容所」に次いで,世界遺産に登録された「原爆ドーム」があります。

 この原爆ドームは,大正4年に広島県物産陳列館として建てられました(チェコの建築学者ヤン・レツル氏の設計による)。一部鉄骨を用いたレンガ造りの3階建てのモダンな建物は,その当時,広島の名所の一つになり,館内では物産品が展示・販売され博物館や美術館としても利用されていました。その後は広島県立商品陳列所,広島県産業奨励館と改称し,30年にわたり市民に親しまれました。

 昭和20年8月6日の原爆投下により,半径2km圏内の建物はすべて倒壊炎上し,2.5km付近の家屋までもが倒壊したと言われています。その中でドームはほとんど真上からの爆風を受けたためか,奇跡的に壁の一部が倒壊を免れ,鉄枠とともに象徴的な姿を残すこととなりました。

 原爆ドームの存続には賛否両論があったようですが,昭和41年の市議会でドーム保存が決議されて以来,過去2回にわたり保存工事が行われています。そして,平成8年12月に「人類史上初めて使用された核兵器の惨禍を如実に伝えるものであり,時代を越えて核兵器の究極的廃絶と世界の恒久的平和の大切さを訴え続ける人類共通の平和記念碑」として,多くの人が念願し続けてきた原爆ドームの世界遺産登録が決定したのです。

(会報JAMT 2005年 9月号掲載)



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