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自然遺産「白神山地」

弘前市立病院 江利山 寛知

白神山地 むかし,日本海航路で活躍した北前船の船頭達は,津軽の国の西浜にそびえる長い頂稜に白い雪を頂いた白神岳を海路のみちしるべとして,また,航海安全の守護神として拝み眺めていました.

 青森県の西部に位置する白神岳(1,232m)を最高点として,1,000m前後の山々が連なり,青森,秋田両県にまたがる約13万haの広大な山岳地域が白神山地です.その中心部の1万7千haが1993年に世界自然遺産として登録されました.ブナの林を中心とした豊かな原生的自然にはクマゲラをはじめとして数多くの動植物が見られ,貴重な生態系が保存されています.

 古く藩政時代,津軽藩では地域山村のマタギや山子を使い,津軽藩独特の生活,文化を育み,そして永続的使用を目的として保護,保存してきた地域でもあります.

 白神山地への入山は一般の登山とは異なり,登山というよりは山の中を歩き回ると表現した方が正しいかもしれません.これまで,一部を除き登山道は皆無に等しく,一般登山者を遠ざけてきました.先人(マタギ等)が利用した踏み跡をたどっては沢を渡り,それを何度か繰り返し尾根を越えていきます.キャンプ地での酒宴,瀬音,谷底から見上げる狭い夜空に輝く星,それはすばらしいものです.白神山地ではそういう山旅ができます.

 斜面の中腹には樹齢300年を越すブナの木が立ち並んでいて,それぞれが人格を持っているかのような姿で立っています.傍に腰を下ろして静かに耳を澄ませると,ブナの木が何か語りかけてくるような不思議な気持ちになります.あなたも白神山地に分け入り,ブナの木々達とお話をしてみませんか.

(会報JAMT 2006年2月号掲載)



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