世界文化遺産「古都奈良の文化財 -薬師寺-」 奈良県立奈良病院 音羽 裕子 『大和は国のまほろば(美しい処・優れた処)』と詠まれているように、奈良市内には『奈良の大仏』で有名な東大寺をはじめ、興福寺、春日大社、元興寺、薬師寺、唐招提寺、平安京跡、春日山原始林の8ヶ所が世界遺産に登録されています。 特に来訪していただきたいのが、日本の律令国家として完成した都だった平安京の西に位置したことより、西の京といわれた所にある薬師寺です。薬師寺は、天武天皇が皇后(後の持統天皇)の病気治癒を祈願して創建されました。度重なる兵火と災害から天平2年(730年)の建立当時の姿を残しているのは東塔だけですが、この塔は水鏡の塔ともいわれ法隆寺の五重塔が水に映って揺れている姿から思いつき建てられたと言われています。 バランスのとれた美しさとリズミカルな建造建築から『凍れる音楽』と賞賛されています。飛鳥時代からの古色の中に趣のある東塔と、昭和の宮大工の職人魂により見事に復元され、創建当時の極彩色をかもし出している西塔を眺めると、1300年の時の流れをかみしめることができます。 また、仏教美術の最高傑作といわれている薬師如来像、その両脇に立つ日光菩薩、月光菩薩の薬師三尊像のお姿は、まさに浄瑠璃浄土の世界であり、癒しを感じえる事と思います。 故高田好胤(たかだこういん)管長により竜宮創りといわれた金堂、講堂、中門が再現され、昔の姿が復元されました。朱塗りの廻廊を歩くと『青によし奈良の都』と謳われた遠い、いにしえの都人の声が聞こえてきそうです。すぐ近くには唐招提寺もあり鑑真和上の遺徳を偲ぶこともできます。 (会報JAMT 2006年5月号掲載) |
「北から南からお国自慢」 Index Page へ | ||
Top Page へ |