「採血」及び「JCCLS標準採血法ガイドライン(第1版)」に関する
アンケート調査集計結果


I.「採血」に関する国民の皆様の意見

(1)  格別何も感じませんでした。看護婦さんが採血してくれましたね。採血がどうこうというより、その結果はどうなのか、医師から早く結果を知りたい!と思いましたね。(30歳、男性)
(2)  採血法が変わったみたいで普段失敗したことがないのに非常に時間がかかった上にやり直しになった。 やり方が難しくなって失敗されるのは不愉快だ。やり方は今までどおりで器具をなんとかできないものか?患者はいい迷惑だ。
 患者の立場になって考えろ。一番いやなのは失敗だ。(50歳、男性)
(3)  母が入院した際の点滴や採血もそうでしたが、注射器一つでも恐ろしく個人差があり、我慢出来ない位痛い思いをすることもあります。血管が出にくいなどの個人差もあり、難しいところだとも思いますが、出来れば基本部分での、技術の統一化を図ってほしいと思います。(36歳、女性)
(4)

 先日、献血をしました。そうしたら、汚れた手袋をした看護師の方がそのまま採血を始めたのでぎょっとしました。 とくに献血は検査が目的という、目的が不純な人が多くくるところで 献血による感染も問題になっているのに、意識が低すぎます。 素手で採血する人もいますし、必ず、使い捨ての手袋をしてほしいです。

 また、先日、病院で数回採血をしたのですが、手袋をせずに私の腕をこするため 看護師さんの手に血液がついてしまいました。「感染症持ってないから平気よ〜」といわれていましたが、このご時世、新しい感染症がどんどん出てきたのに、と思いました。

 針刺しが問題になってますが、キャップもしなおしたので心配に思いました。そうして、心配だったのが、忙しい看護師さんがその手を洗って 次の患者に接したかどうかわからないことです。使い捨ての手袋をして採血や、皮膚疾患の患者に接する、というのを、必須、標準にしていただかないと、病院が感染源になる可能性を考えてしまいます。

 ついでに、これは採血とは違いますが、コンタクトレンズ量販店の眼科にありがちですが、 検眼のときに素手で多数の人の目を触ります。手を洗っている様子はありませんので、あんまりよくないなぁと思っています。
 歯科と内視鏡の消毒もまだまだいい話をきかなかったりします。(35歳、女性)

(5)  献血も含めて技術の個人差がありすぎ。私は一番太い血管がかなり深い位置にあるので仕方ないかもしれないが、献血では何度もやり直した挙句、採れなかったこともある。かと思えば、技術の有る方に出会うと、今までみたこともないほどの太い血管を当てる方もある。これは、男女・医師看護師・年齢などには一切関係ないと感じる。どうにかならないでしょうか?(39歳、女性)
(6)

 最近病院(国立を除)職員の患者に対しての接し方が良くなってきていると実感します。それと同時に感じるのは、私たち患者側のマナーの悪さです。採血について好きな人はそうはいないと思うし私も幼少期長期間の入通院(脳腫瘍、東京J医大)よりすっかりというより、大嫌いになりました。採血をされる医師、看護師、技師の方々には職人技を感じる方からドキドキの新人の方と様々です。

 そんな中で私の血管が見ずらい事もあり、一回で採血が終わったらラッキーと思います。ところが最近よく病院で怒鳴る患者を間々見受けます。どうしてそんなに横柄な態度で病院職員に接する必要があるのか、怒鳴る必要があるのか、採血失敗したからといってどうして怒るのか疑問でなりません。確かに待ち時間は長くイライラしているのかもしれません。患者が多いのは町医者ですむような人が多いのが原因とも聞きます。針を刺され失敗し余計痛いのかもしれませんが、しかしそれは半人前の医師、看護師、技師の教育機関としての大学病院では仕方のないことだと父に言われますし私もそう思います。あちら様も必死にやって失敗するのですから。医療事故死は困りますが。

 私が入院していた十数年前の病院に比べたらこんなに患者にとっていい環境はありませんし、逆に調子に乗らせているのではないでしょうか。また採血して感染するとかなんとか、確率の低い危険を騒いで、医療の現場に全て当てはめるというのは、かえって私たち患者は不安です。敏感になりすぎなのではないかと思います。(29 歳、女性)

(7)  今日、子供が採血をしたのですが、検査結果の詳しい説明がありませんでした。小さい子供から沢山の血液を採って何の説明もないのは不愉快です。詳しい説明用紙とか頂きたいと思いました。(34歳、女性)
(8)

 大病院で看護婦さんに採血をしてもらった時、2回失敗し、人が代わってまた失敗して、また人が代わって4回目でやっと成功しました。何度も採血をしてもらった事がありますが、患者がこれだけ痛い思いをしても、下手な人はずっと下手な気がします。取り方をきちんと勉強してほしいです。

 外来の採血室で、採血の途中で貧血で倒れた患者さんをみました。同じ部屋で同時に5〜6人採血していたので、手の空いてる看護婦さんが支えにすぐ来るのかと思ったら、対面式で机があるのでなかなか看護婦さんが来れません。後ろにいた患者さんが回転椅子の上の男性を支える羽目になってしまい、大変でした。

 最近の健康診断では、左腕で充分血管が見えてるのに「右腕を出してください」という看護婦さんが増えました。利き腕は使うので、できるだけ反対で採って欲しいのに、上手な採血をする人が減ったように感じてます。 

 知識だけでなく、手技についても腕を磨いてほしいです。(37歳、女性)


II.「ガイドライン」に関する医療従事者の意見

(1)  採血手技についてのガイドラインに沿って手技を行うことにより、コストがかかりすぎているように思います。採血による保険点数は10点程度だったと記憶しています。ディスポの採血針、ホルダー、採血管、アルコール、人件費など含めるとどう考えてもバランスが取れないように思います。 病院経営として損するようでは仕事にならないと思うのですが。
 (不明、不明、平均採血患者数1200人、採血 数のべ1500本)
(2)

 ガイドラインでは、最後の採血管を抜いてから駆血帯をはずすとなっているが。しかしながら、複数本採血管があり、対象の患者様の血管が脆弱化している場合や血管の怒張が強い場合など、ホルダーで穿刺後すぐに、もしくは最初の採血管を抜いてすぐ駆血帯をはずすほうが血液の皮内への漏れなどの危険が少ないように思われる。

 ガイドラインを、「駆血帯をはずす時は、採血管を抜いた状態で行う。(採血管を抜いた状態であれば、駆血帯をはずすタイミングは状況にあわせて行う。)」と変更できないか。
 (不明、不明、平均採血患者数200人、採血数700本)

(3)  真空管採血の場合、採血管内の穿刺針が採血した血液に接触しないようにするには患者様にかなり極端なアームダウンの姿勢をとってもらわなければならない。厳密に実施することが要求されるのであれば腕が固定できる専用の肘付き採血用椅子をもっと安価に購入できるようにして欲しい。

 アームダウンが不可能な場合は翼状針の使用を勧めているがルアーアダプターが高価すぎる。採血針よりルアーアダプターの方が高額な理由がわからない。いっそ翼状針付きホルダーを作っては如何なものか。

 ホルダーは消毒して患者毎に交換している。本年4月よりの実施であるが耐久性の低下によるトラブルは今のところ起きていない。駆血時間は1分を超えない、止血は5分間、真空管採血は6本以内など結構厳しい条件が提示されているが、実際これを遵守して行っている施設がどのくらいあるのか、患者数の規模と併せてその実施状況が知りたい。

 今後も注射器による採血のリスクを考えると真空管採血は是非とも続けていきたい。最後に採血料のアップをお願いしたい。また、6才未満の乳幼児加算が7点というのは低すぎると思う。
 (女性、技師、平均採血患者数350人、採血数500本)

(4)  実はこのガイドラインによる採血を当院では実施していません。 当院では、真空採血管での採血は行っていません。 通常の注射器にて採血を行い、針をはずし、採血管へ分注しています。このような方法を取っている施設は少ないのでしょうか? 真空採血を行っていないことは、保健所などの指導の対象になるのでしょうか?
 (不明、不明、平均採血患者数及び採血数記載無し)
(5)

 「駆血帯をはずすのは採血管を抜いてから」は当然です。「針をさしたら採血管を入れる前に駆血帯をはずす」では、途中で採血できなくなるケースがかなり出てくると思います。駆血帯をしていても手を握ったり開いたりしてもらわないとならない場合は少なからずあります。この場合は血管内の圧と採血管内の圧は平衡ではなく、血流が少ないか血管が採血管の陰圧に負けてつぶれてしまっているかです。こんな時駆血帯は必要です。その時になって他の人に再度駆血帯をしてもらうのでしょうか?採血をあきらめるのでしょうか?

 採血管に入る血流が完全に止まるまで待っていると、ゴム栓の先から血液が1滴こぼれることがあります。血管内の圧と採血管内の圧がぎりぎりのところでつりあっていることがうかがえます。逆流するかもしれないと思う瞬間です。採血管の滅菌は必須です。「おおかた血液が入ったら採血管を抜く」という方法でこれは防げます。しかし、この方法では凝固や赤沈の場合は量不足で検査結果に影響が出る危険があります。経験した数少ないメーカーの製品はどれも完全に血流が止まるまで待っていないと規定量になりません。これらの採血管では陰圧がもう少し強ければ「おおかた入ったら抜く」という方法で規定量になると、常々思っています。逆流防止の面だけでなく、血管の細い人では絶対に規定量には達しないという問題も解決すると思うのですが。なによりも、おなじ10%の違いでも、量不足より量過多の方がデータに影響が少ないことにも着目すべきです。また、量過多なら後から抗凝固剤を足すことも可能です。

 採血管に流入した血液が針部に触れないような角度で採血する件について血液が逆流するかもしれないからということであれば、空気なら良いのでしょうか?実際には針部側に血液が溜まっていく角度が多いです。触れない角度を守ろうとすると、患者は高い位置に、採血者はひざまづいて、という状態が多くなりそうです。

 現在80CMの採血台でも、採血者が腰痛をおこさないようにするには注意が必要ですし、一方、イスが高すぎてかけていただくのに危険を感じる高齢者の患者もいます。危険な時は介助をしますが、このような事情も考慮して総合的により危険の少ない方法を探ってほしいと思います。

 採血ホルダーの使い捨てについて経済的な担保があれば、使い捨てにすることについてやぶさかではありません。しかし、使い捨てにしなかった場合、どれほどの危険があるのでしょうか?どのくらいの危険なら、回避するために投資するべきなのでしょうか?医療全般のこと、人が一般社会で安全に暮らすということ、地球のこと、いろいろ考えると、特別に清潔区域での管理が必要な患者以外は不必要な気がします。今は、1日の最後に洗浄しています。肉眼的に血液がついた時にはとりかえています。これではいけないでしょうか。
 (女性、技師、平均採血患者数及び採血数記載無し)

(6)

 駆血帯をはずすタイミングですが、穿刺直後に駆血帯をはずすと、血管が細い場合は途中で採血が出来なくなり、2回3回と取り直しになる事が多く、しかも採血の待ち時間も長くなり、患者様に精神的肉体的苦痛を与える事になると思います。

 ホルダーの使い捨てですが、現在、当院採血室では患者様毎に換えてはいませんが、血液が一滴でも付着したら交換し、洗浄乾燥して使用しています。安価なデスポーザブルが開発されたら検討したいとおもいますが。

 アームダウンについてですが、デスポーザブル注射器や翼状針を使用した場合は可能ですが、ホルダーによる真空採血では不可能なことが多いです(特に、身長が低い方や車椅子の方)。また、デスポーザブル注射器や翼状針は、針刺し事故が多く(単価も高いので)、敬遠したいです。 採血容易な患者様についてはアームダウンを心がけていますが、難しい患者様については1回で採り終えることを優先しています。簡単ですが、最も気にかかる問題について述べてみました。
 (女性、技師、平均採血患者数180人、採血数600本)

(7)  現実的にあのガイドラインに則って採血を実施するのは、経済的に大きな問題がある。また衛生面での内容を強調しているがその対処法として、あれだけ使い捨てを推奨するのはこの時代にあって環境問題にも逆行する手段だと思う。感染などを問題の頂点としすぎるあまり、本来の患者接遇面での大切な姿勢が抜け落ちる現象を多いに危惧するものである。
 (不明、不明、平均採血患者数300人、採血数900本)
(8)

 健診事業をしております。1時間に100人近い方々の採血を施行する状況もある中、対応,手技,処理の面でスタッフ一同、日々試行錯誤しております。

  採血管(真空)が滅菌になり1歩クリアーした感はありますが、ホルダーの扱いにどうしても苦慮している次第です。『原則的』には使い捨てなのですが、これだけの数をこなすには、無理があり、今後の課題になっています。
 (不明、不明、平均採血患者数10〜200人、採血数30〜600本)

(9)  JCCLSのガイドラインは、駆血帯をはずすタイミングをアームダウンを基本的にしている場合に採血後としたところが大いに評価できる。また、注射器を用いた採血後の分注法で安全な方法論を記載している所も評価に値する。ディスポーザブルのホールダー再利用については、すでに米国のfederal lawで禁止されている事でもあり、遵守せざるを得ないであろう。しかしながら、注射器採血に比してコスト面での圧迫が当然発生している。

 今後コスト面での製造業者の協力が不可欠であり、臨床検査医学会など関連諸団体と協力して協力を求めるよう動く必要がある。
 (男性、技師、平均採血患者数及び採血数記載無し)

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