臨衛技法改正について (2/5)

改正法案と附帯決議の解釈



改正法案


1.

 法律の題名を、「臨床検査技師等に関する法律」に改めること。

2.

 臨床検査技師の定義の内、「医師の指導監督の下に」を「医師又は歯科医師の指示の下に」に、「政令で定める生理学的検査」を「厚生労働省令で定める生理学的検査」に改めること。

3.

 衛生検査技師の資格は、廃止すること。
(現に衛生検査技師の免許を受けている者は、衛生検査技師の業務を継続して行うことができる。また、臨床検査技師国家試験受験資格の特例を定める。)



附帯決議と解釈


一.

 検査技術・検査機器の高度化、複雑化に十分対応できるよう臨床検査技師の資質の向上に努めること。

解釈:資質の向上に努めるとは,学校教育の中でのカリキュラムの問題,卒後教育としての生涯教育を鋭意努めることを喚起するものである。当会が中心となって実施または予定している認定制度(輸血・微生物・細胞検査士など),他団体とのチーム医療としての認定制度(日本糖尿病療養指導士・日本栄養療法士など)を十分に活用し,スキルアップに努めるべきである。

二.

 臨床検査技師が行なうことのできる生理学的検査の範囲については、医療提供体制の変化や医療技術の進歩に応じた見直しを図っていくこと。

解釈:今回の法改正で政令に規定されている16項目を省令に委任することとした。これは医療提供体制の変化や医療技術の進歩に応じた見直しを厚生労働省令内の検討事項として医師会等関連団体と協議を行い,速やかに実務に入れるようにしなければならないという解釈である。

三.

 人体から排出され、又は採取された検体に係る第二条に規定する検査のうち、高度な医学的知識及び技術を必要とするものについては、検査の適性を確保するため、臨床検査技師等の専門的知識や技能を有する者が行なうことが望ましいことから、周知に努めること。

解釈:今回の法改正では「業務制限」あるいは「独占業務」としての文言を盛り込むことができなかった。しかし,臨床検査技師が行える業務として「法」の第二条に規定されている微生物学的検査,血清学的検査,血液学的検査,病理学的検査,寄生虫学的検査,生化学的検査及び政令で定める生理学的検査はいずれも高度な医学的知識及び技術を必要とするとの解釈である。したがって,第二条に規定されている検査を行う者を臨床検査技師として読み替えることができ,換言すれば臨床検査技師など専門的知識や技能を有しない者は行うことができないとの解釈である。

四.

 超音波検査等のうち高度かつ緻密な生理学的検査については、検査の正確性及び検査を受ける者の安全を確保するため、できる限り医師又は歯科医師の具体的な指示を直接受けて行なわれるよう、関係機関の指導に努めること。

解釈:ここでいう高度かつ緻密な生理学的検査をどのように捉えるかが問題である。現場の検査業務において,器具を体内に挿入するなど明らかに侵襲性のある検査項目等(トレッドミル負荷心電図,経食道心臓超音波検査,経膣超音波検査,経直腸超音波検査,点滴継続中の負荷試験)についてではないことを確認しておきたい。これらは常に医師の立ち会いのもと,具体的な指示を直接受けて共同作業として施行することが原則である。医療の安全性,検査の正確性から改めて喚起を促すものである。

五.

 前項に掲げた検査について、医師又は歯科医師の具体的な指示を直接受けられない場合は、相当程度の知識・経験を有した臨床検査技師が検査を行なうよう周知に努めること。

解釈:なお,医師又は歯科医師の具体的な指示が受けられない場合,やむを得ない場合は,相当の臨床検査技師が行ってもよいとの解釈である。これらは,今まで行われてきた生理検査業務と何ら変わりがないことを確認しておきたい。むやみに規制が引き締められたとの解釈は適当ではない。ここでは,職名として「臨床検査技師が」との文言が挿入されたことを高く評価すべきと共に,一部,診療放射線技師や視能訓練士と相乗りになっている検査項目において無用な問題を引き起こさないよう願いたい。


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